介護事業者の倒産が急増し、介護保険制度の施行(2000年)以降で最も多くなった。東京商工リサーチが今月公表した調査結果では、1~6月の倒産件数は81件で、前年同期(54件)の1.5倍に達した。訪問介護が約半数を占めており、人材不足や物価高騰に加え、今春の介護報酬改定での基本報酬引き下げが影響した可能性も指摘されている。

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 東京商工リサーチによると、介護事業者全体で、上半期(1~6月)の倒産件数が最多だったのはコロナ禍の打撃を受けた20年の58件。今回はそれを大きく上回った。

 業種別で最も多かったのは訪問介護の40件で約半数となった。デイサービスなど通所・短期入所介護事業が25件、有料老人ホームが9件と、いずれも前年同期を上回った。

 規模別にみると、従業員数20人未満が9割以上となるなど、小規模事業者が追い込まれている。

 24年度からの介護報酬改定は、賃上げなどのため全体で1.59%のプラスとなった。一方で、訪問介護の基本報酬は減額となり、介護現場から批判の声があがっている。

 東京商工リサーチは、介護報酬の引き上げ幅が想定を下回り、人材不足や物価高のコスト増に追いついていない実態がある、と指摘。「(基本報酬が)マイナス改定だった訪問介護を中心に、事業継続をあきらめた倒産が件数を押し上げている可能性もある」とし、倒産増加はしばらく続くと予想している。

 厚生労働省の推計によると…

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